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「ワイマルのロッテ」はいらない

2012
04-03
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平成24年4月2日 晴れ
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「失われた時を求めて」を読み始めたが、その間、旅行などがあるので、仕方なく他の文庫本を読むことになる。
そのために、読了までなかなかたどり着けない。

さて、久しぶりにマンである。
読み出して、その構成に誰もが戸惑うだろうが、しかし、これもマンらしい小説造りの遣り方だろう。
だから、出だしのホテルマンの応対にイライラしながらも、シャルロッテを訪問する客の噺はそれなりに愉しめる。
が、文庫本でいうと下巻、ゲーテJrが登場する辺りから、冗長に感じ始める。
いや、もともと冗長の雰囲気はあったが、中身の面白さでどうにか我慢できたのだが。
そして、いよいよゲーテ当人が一人称で登場するにあたって、それが最高潮に達するのだ・・・

マンは構成をあらかじめきっちりと考えて、書き出してから書き終えるまで、当初の計画通りに完成できたのではないかと思う。
書き出してから、構想がふくらんで、当初、予定していたものとは違う作品になってしまった―そういう作品ではない。
書き手からすれば、これはこれでひどく満足だったのではないか。
ただし、当初の構想通りに完成できたものが、そのまま完成度の高い、傑作になるかと言えば、そうはならないのが小説であり、その他の創作作品の難しさであり、面白さでもあると思う。

何故、「ワイマルのロッテ」は面白くないのだろう。
一つは、ロッテ自身に魅力がないからではないか。
ロッテは「ウエルテル」の中で魅力的だったのであって、44年後の当人はもはやそれではない。
一つは、語られる事象のほとんどが過去を回想する形のものであることも挙げておかなくてはなるまい。
その回想と同時進行している現実が、何だかとても面白くないのである。
かつて、心を動かされた男女が44年ぶりに逢う噺のどこが面白いというのだろう。
いや、その面白くない噺を、こうして長編に仕立て上げるのだから、マンの作家としての力量の確かさを賞賛すべきなのかもしれない。
もう一つ決定的なのは登場した一人称のゲーテが、ニセモノ、作り物の匂いがする、という点だろう。
一人称であるならば、当然、マンはその場でゲーテ本人になり切らなくてはならない。
が、ここではマンのゲーテ、マンが演じるところのゲーテが語っているのである。

これを書いたのは晩年に近い。
残念ながら、マンにしても、その年齢に比例して贅肉がついた、と言わざるをえない。

だが、本当に詰まらなくしたのは、作品で語られるように、ゲーテという天才、偉人のまわりでは全ての人間が凡人になってしまうからだろう。
誰も凡人の日常の噺などわざわざ読みたくはないのであるから。


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Comment

最近ワイマルのロッテ読了しました。

望月さんの訳が悪いのかしら、思いましたが、ドイツ語出来ない私に言う資格はないんでしょうけど。主述を探し当てるのが容易じゃない。
でも米川ドストとかそう困らずに読んでるんですけどネ。


ロッテが、平凡なおばさんらしい意地、
つまりふったはずな男が世界の偉人へと逆転し自分が悪者みたいになってしまった事が
気になって仕方ない、
よくいる意地っぱりなおばかな普通の女に書かれてる場所は面白かったです。
私もそんな程度かな(笑)
  • 2012-08-09│08:32 |
  • かんざし URL│
  • [edit]
No title
訳のせいではないと思うのですが・・・
米川訳のドストエフスキーを読まれたとはツワモノですね。
所謂「物語作家」マンとしては、その物語自体の造り方や、素材、モチーフの選択に失敗したような気もします。さらに言うなら、ロッテの周りの連中もいささか類型的だったような憾みも。
全作品が傑作、とはこのクラスの作家でも厳しいのです。
  • 2012-08-09│08:56 |
  • 由紀 URL│
  • [edit]

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stanton919

Author:stanton919
由紀 かほる

憂国を語る、《恋愛》小説家。

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